タクシードライバーの実際の年収はどのくらいなのか、気になる人は多いのではないでしょうか。タクシードライバーといっても、地域ごとに収入は異なります。また世の中の景気や状況にも左右されますので、年によっても年収は多少変化があります。ここでは、タクシードライバーの年収について、実際のデータを用いながら業界全体の推移や地域差も含めて詳しく説明しましょう。
1986年から2013年までのタクシードライバーの平均年収における推移をまとめた、全国自動車交通労働組合連合会のデータによると、1986年には約324万円であった年収は、1991年にピークの430万円となります。その後1998年に400万円を割り、リーマン・ショックの翌年である2009年から大幅に落ち込み、280万円となりました。世界的不況の影響で日本の景気も落ち込み、タクシー利用を控える人が増えたことによるものでしょう。このリーマン・ショック時の年収減少はタクシー業界だけでなく、全産業労働者(男性)の年収推移を見ても同様です。リーマン・ショック後には、どの産業も軒並み年収が落ちています。
しかし、2009年以降、タクシー業界の年収は順調に回復。2009年に280万円であったのが、2013年の統計では298万円となり、300万円台に戻る勢いを見せています。割合でいえば6%増です。しかし、全産業労働者(男性)の年収推移では、2013年の数字はリーマン・ショック直後よりも低くなっており、産業全体で見るとかならずしも年収が上がっているとはいえません。
つまり、依然として日本全体で景気が回復しないなかで、タクシー業界は年収が増え続けている数少ない業界ということになります。狙い目の業界といってもよいかもしれません。
これまでは平均年収の推移を見てきましたが、今度は地域による年収の差に注目してみましょう(関東旅客自動車交通労働組合連合会の発表データを参考)。2016年のタクシードライバーの地域別年収を見てみると、全国の平均は332万円。上で挙げた2013年の298万円よりさらに上がっていますね。
このなかで、全国で最も高いのが首都圏です。上から、東京都が443万円、千葉県が388万円、神奈川県が360万円、埼玉県が359万円で、この4地域が突出して高い数字を出しています。
そのほか、東海圏では静岡県が337万円と平均より上を記録しています。また、関西圏では日本第2位の都市である大阪府が368万円と最も高く、他の県も奈良県が349万円、兵庫県が346万円、京都府が342万円と、軒並み平均以上を記録している県が多くなっており、観光地として有名な地域も年収は高い傾向にあります。
より高い年収を求めるなら、都市部のタクシードライバーになるのがよい選択といえます。
タクシードライバーは基本歩合制なので、給料の変化幅の大きさが特徴です。つまり、やる気とスキル次第で高収入も実現します。楽して稼げるわけではありませんが、努力しただけ収入に反映される職業といえるでしょう。基本的かつ重要なポイントとして3つのことを挙げてみました。
1人でも多くのお客さまを得るためには、よいタイミングや季節、天気などを考慮し、お客さまが多い場所で流し営業をすることが良策といえます。駅や乗り場でお客さまが来るのを待つ「付け待ち営業」という方法もありますが、待ち時間が発生するのであまり効率のよい方法とはいえません。
お客さまがいつ、どこでタクシーを利用するのかを把握し、正しい時間にその場所に行くことで、仕事も効率的になります。一例として、タクシーを利用するお客さまが多い場所は、富裕層の多い街やビジネス街、飲み屋街、坂が多くて長く歩くにはつらい場所などです。この時間にここに行けば必ず売上が出る! という場所を知っていれば、それ以外の時間に売上が少ない日でも安心できるでしょう。
たとえ数メーターしか利用しないお客さまがいても、嫌な顔をしないことや、イライラを仕事に持ち込まないことはとても大切です。お客さまによって態度を変えるのは、タクシー会社の評判に影響するだけでなく、実際に自分の売上減少につながってしまいます。逆に、一人ひとりに丁寧な接客を心がけていれば、よい循環が生まれるものです。ときに自分の接客スキルを見直すことも重要といえます。
タクシードライバーの働き方は、一般の会社員のように毎日9時~17時というものではありません。比較的シフトの融通が利く代わりに、一度勤務に出ると長時間車内で過ごさなければならない場合も。そのため、健康管理には人一倍気をつかう必要があります。病気になって休んでも、だれかが代わりに働いてくれるわけではありません。また、休んだだけ収入は減ってしまいますから、しっかりとした収入を得るためにも健康管理は必須といえます。バランスのよい食事や運動を意識的に心がけ、睡眠時間を十分確保できるようにしましょう。ましてや居眠り運転などあってはいけませんから、睡眠時間の確保は特に重要です。
参考:
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