タクシー業界を支える「配車」「運行管理」の仕事内容とは?

「タクシーやタクシードライバーなら知っているけれど、『配車』『運行管理』は初耳」という人は、意外に多いのではないでしょうか。なぜそうなのかといえば、配車係や運行管理者は、タクシードライバーのように「タクシーを運転する立場ではない」からです。つまり、裏方に徹しているため、その仕事内容を知る人は少ないといえます。そこで今回は、タクシーを円滑に運営するうえで欠かせない、配車係と運行管理者について紹介します。

 

タクシー業界における配車業務とは?

タクシーを確保する際、タクシー乗り場を利用したり、走行中のタクシードライバーを呼び止めたりするほか、タクシー会社に連絡するという手段もあります。ここでは、指定時間や指定場所のやり取りをする「配車係」についてピックアップしてみました。

 

お客さまに最適なタクシードライバーを手配する役目

タクシー会社では、タクシードライバー以外に、社内で待機する配車係を置いているのが一般的。配車係は、お客さまからの電話を受けたあと、その目的や条件にあった最寄りのタクシードライバーを手配することが、主な役割です。イメージとしては、コールセンターにおけるオペレーション業務に近いといえるでしょう。

 

正確さとスピードが求められる

限られた時間内でお客さまから正確な情報を入手して、それを最寄りのタクシードライバーに伝えるのが配車係の仕事です。そのため、迎えにいく時間・目的地といったお客さまの要望はもちろん、迎えにいく場所・氏名・連絡手段(電話番号など)も把握する必要があります。また、お客さまの要望はタイムリーであることから「時間を守る」ための適切な状況判断力も求められます。

 

「スマホ配車」でも配車業務は必要

近年のタクシー業界では、「スマホ配車」を採用するタクシー会社が増えつつあります。専用アプリに登録することで利用が可能なスマホ配車は、GPSが位置情報を取得し、最寄りのタクシードライバーを自動的に手配してくれます。よって、配車係とのダイレクトなやり取りはなくなり、スマホ1つで簡単にタクシーを呼ぶことが可能です。

 

そうすると「配車係の必要性は?」ということになりますが、スマホ配車においても配車係は重要な役目を果たします。例えば、常に稼動中のタクシードライバーと連絡を取りあうことで「スマホ配車の正確性を維持」したり、スマホ配車に「万が一のトラブルが生じたときにサポート」したりするなど、いわば『スマホ配車の監視役』となるのが配車係なのです。

 

タクシー業界に不可欠な運行管理業務

タクシードライバーはもちろん、配車係も束ねる運行管理者。いわば営業所のリーダー的存在ですが、どのような業務をしているのでしょうか。まずは、運行管理者の条件について見てみましょう。

 

運行管理者は国家資格

「運管」こと運行管理者とは、タクシーに限らず、バスやトラックを含む「営業用自動車」が運行する際の安全確認のために設けられた国家資格です。試験は年に2回実施され、受験資格は「自動車運輸事業者の運行管理に関する実務経験が1年以上」などの規定が定められています。

 

主な仕事内容

運行管理者は、乗務員の勤務時間のみならず、睡眠時間や休憩時間を含めた健康状態の管理まで行うほか、売上および給与にも携わり、事故が起きた場合には矢面に立って対応するのが主な業務です。特に事故の対応では、過失の割合によって損害の金額が決まるため、会社側が受ける影響を考えながら交渉を進めていきます。

 

クレームの適応力も求められる

ひと口に事故といっても、タクシードライバーの不注意などにより発生してしまうことがありますが、その場合は運行管理者が当事者間に立ち入って対応します。また、タクシードライバーだけでなく、配車係がお客さまとトラブルを起こした際も、運行管理者がクレームに応じます。一方、クレーム対応時に運行管理者が事情を把握しきれずにいると、話がこじれて運行管理者自身の問題に発展する可能性もあるので、注意が必要です。

 

タクシードライバーの仕事内容は「楽?きつい?つらい?」

タクシードライバーといっても、お客さまとの会話を楽しめるタイプ、あるいは会話を苦手とするタイプ、はたまた給与に魅力を感じて続けられるタイプなど、その性格は十人十色。そんなタクシードライバーにとって、仕事が楽しいorつらいと感じるのは、いったいどんなときなのでしょうか。

 

「楽しい」と感じている派

「いろいろな人と出会えるし会話するのも仕事のひとつ」

「体を動かすのが苦手なのでずっと車内にいられるから楽」

「車内だから寒いとか暑いとかがない」

「無理に会話をする必要もない」

 

仕事が楽しいと感じているタクシードライバーは、その大きな特徴といえる「車を使った仕事のメリット」を挙げていました。また、お客さまとの接点を一期一会と捉えられる人ならば、まさにタクシードライバーという仕事は出会いの場といっても過言ではないでしょう。

 

それとは対照的に、無口な人でも楽しみを感じられるのが、タクシードライバーの仕事ともいえます。タクシー業務はお客さまを目的地まで安心・安全に送り届けるのが最優先のため、ときに会話も大切ですが、やはり安全運転を心がけることが第一です。

 

「きついorつらい」と感じている派

「隔勤は拘束時間が長いから慣れるまでが大変」

「激戦区とそうでない場所の差が大きい」

「なかなか腰痛が治らない」

「夜の繁華街から呼び出されると泥酔客が多い」

 

隔勤とは、タクシー業界特有の勤務スタイルで、一般的には拘束時間が20時間といわれています。もちろん仮眠も含まれますが、ほぼ1日を通して車内ですごすことになるため、腰痛を抱える人にとっては切実な問題といえるでしょう。

 

また、エリアによっては集客を見込めたり、見込めなかったりと差に開きがあるのも現状です。そうしたことから給与に影響するほか、激戦区と呼ばれるエリアでは人も多いことからトラブルに遭遇する割合も高くなります。

 

タクシードライバーから配車係と運行管理者を目指す

現在のタクシー業界は「スマホ配車」の時代を迎えようとしています。しかし、いくら自動化されるとはいえ、それは配車係という存在があったうえで成り立つもの。一方、その配車係とタクシードライバーも含めた現場スタッフを束ねる運行管理者の働きがあってこそ、タクシーの安全性が保たれているのではないでしょうか。

 

タクシードライバーとして経験を積めば、将来的には配車係や運行管理者といった役職に就ける可能性も高くなります。そうしたキャリアステップを重視して就活をしている人は、大手タクシー会社を選ぶとよいかもしれません。