タクシー業界でよく用いられる「足きり」という言葉。業界未経験の場合、あまり馴染みのあるものではないでしょう。そこで「足きり」について、その仕組みを給与計算の事例を交えながら詳しく解説します。また、「足きり」は会社によって異なるので、その点を踏まえつつ見ていきましょう。
「足きり」は、タクシー業界だけの専門用語です。営業職では「ノルマ」がありますが、それと同じ意味だと考えてください。営業職を例にすると分かりやすいかと思いますが、営業職の場合、ノルマを達成したら基本給に加えて、ノルマを上回る業績分にインセンティブとして加算されることが少なくないでしょう。業績がアップするほど、その利率が高くなる仕組みになっています。
タクシー業界の「足きり」も同じ仕組みの場合が多いでしょう。基本給にインセンティブが加算されて、成績が良いほどインセンティブの利率が高くなるようになっています。「足きり」はタクシー運転手のモチベーションを引き出すために考えられた仕組みで、普通に勤務していれば「足きり」は達成できるといわれています。
また、「足きり」が達成できなかったからといって、給料がまったく無くなるというわけではありません。基本給は保証されています。ただし「足きり」を達成すると、基本給に加算される歩合の利率が高くなります。ただしタクシー会社によっては「足きり」制度のない場合もあるので、ノルマを課されることが精神的な負担だという方は、足きり制度のないタクシー会社を選ぶことも出来ます。
足きり制度のないタクシー会社では、成績が良くなるにつれて歩合が高くなる仕組みになっていない場合が多くなります。そのため、たくさん稼ぎたいというタクシードライバーにとっては物足りないかもしれません。
先述しましたが、足きりが達成できなかったからといって、給料がもらえないというわけではありません。基本給は保証されているので安心してください。ただし、どのタクシー会社も基本給が低く設定されているので、「足きり」を達成してさらに上の成績を目指さない限り、稼ぎが少ないという状況があります。では「足きり」を達成して、さらに上位の成績を目指すためにはどうすれば良いのでしょうか。具体的な方法をいくつか取り上げていきます。
・ 駅前のタクシー乗り場などで上手にお客様に乗車してもらう
駅前にあるタクシー利用者の多い乗り場で上手にお客様に乗車してもらうのが、もっとも手っ取り早い「足きり」達成の近道です。ただしこの方法は駅前周辺にタクシーの渋滞が起こりやすく、なかなか順番が回ってこないという欠点があります。
・ こまめに流し営業をしてお客様に乗車してもらう
「足きり」を達成するためには、こまめに人の多いエリアを流してお客様に乗車してもらう方法もあります。場所は、飲食店の多い歓楽街やお買い物スポットなどがおすすめです。また、閑散とした住宅街でもタクシーを待っているお客様がいるので、経験を積んで勘を磨いたタクシー運転手ほど成績が良くなります。
・ 会社から配車の無線をもらって成績を上げる
会社からの配車の無線は、会社のシステムによって配車の依頼数が異なります。そのため、必ずこの方法で成績が良くなるとは限りません。
「足きり」の給与計算はタクシー会社によって異なり、具体的には「基本給+(営業利益-足切額)×歩合率」となります。
例えば固定給13万円のタクシー会社で歩合率が60%の場合。「足きり」が40万円、ドライバーの営業利益が50万円だとしましょう。そうすると「基本給13万円+(営業利益-足きり額「50万円-40万円=10万」円)×歩合率60%」となり、全体の給与は13万円+6万円で19万円となります。この給与額にさまざまな手当(皆勤手当てや無事故手当など)が追加されるので、25万円程度の給与になる計算です。会社によっては、30万円を超える場合も考えられます。
歩合率によってインセンティブの率が異なってくるので、足きり額だけでなく、歩合率やさまざまな手当などもあらかじめ確認しておくようにしましょう。
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