タクシードライバーの仕事と言えば何が思い浮かぶでしょうか? お客さまを乗せて運転する、タクシー乗り場で待機、配車の依頼に応じて迎えに行く……などを考えた人が多いと思います。しかし、それは外から見える部分の仕事で、裏方で行う作業も数多くあります。そのなかでも、車のメンテナンス、特に洗車はタクシードライバーには基本かつとても大切な作業です。
お客さまに気持ちよくタクシーを利用してもらうためには、清潔で管理の行き届いた車を維持することは欠かせません。この記事では、タクシードライバーが洗車の際に気をつけていること、そのほかの車内のメンテナンスについて紹介します。
タクシードライバーの大まかな1日の仕事の流れを見てみましょう。
朝7時に出勤、車の出庫前点検を行います。その後ドライバー自身のアルコールチェック、点呼、お釣りの用意などをして8時ごろに乗務をスタートします。夜の11時まで、食事や休憩を十分にとりながら勤務を行います。その後、午前2時半に営業所に戻って納金し、1日使用した車の洗車を行います。
洗車のタイミングは会社やドライバーによってさまざまです。朝出勤してすぐに洗車をする人もいれば、夜勤務終了後に洗車をする人もいます。どの時間に洗車をするにせよ、共通しているのは「タクシードライバーは、最低1日1回は洗車を行っている」ことです。
1日中車を走らせていると、車体はチリや埃、排気ガスなどですぐに汚れてしまいます。複数のお客さまが乗り降りした後は、車内のシートや床も汚れがつきます。これらの汚れを毎日リセットして、いつも清潔な車にお客さまを乗せることは、タクシードライバーの基本的な気配りといえます。
洗車は、まだ経験が浅い人でも必ずプラスの印象を与えることができる作業です。逆に言えば、どんなにキャリアがあっても、車に臭いがこもっていたり汚れていたら、お客さまからの評価は下がります。きちんと車のメンテナンスをしているタクシードライバーは信頼され、清潔な状態を保った車はお客さま獲得の後押しをしてくれるでしょう。
タクシーの洗車は洗車場で行います。洗車場には、手洗いの設備、自動洗車機の設備など、施設によってさまざまなタイプがあります。タクシー会社によっては、自動洗車機を使うことを禁止しているところもありますので、会社の規定をしっかりと理解したうえで、効率的に洗車をしています。
大手のタクシー会社だと、社内に専用洗車場を所有しているところもあります。所属するタクシードライバーはこの専用洗車場で無料で洗車をすることができます。洗車のスタッフはいない会社が多いので、自分で丁寧に洗車をする必要があります。自分の目で車の状態を見ることで、どんなケアが必要かわかることに加え、1日でどれだけ車体が汚れるかを体感することとなるでしょう。自分が乗る車と毎日向き合うことで、徐々にメンテナンスもしやすくなっていくのです。
1日の勤務を終えた後に洗車をするのは、気が乗らないときもあります。そんなときは、街中の洗車場を使うのも手です。一般車の洗車とは別に、タクシー専門の洗車場が深夜も多く営業しています。自腹にはなってしまいますが、1回数百円~1500円程度で、スタッフが洗車をしてくれます。
クタクタの状態で洗車をしても見落としがあるかもしれませんし、そんなときは洗車場に任せて少し休んで疲れをとるのも、効率を考えればドライバーにとってはよい選択かもしれません。
洗車というと、どうしてもタクシーの外装に目が行きがちですが、車内のメンテナンスにもしっかりと気を配っているのです。車内のメンテナンスのポイントとしては以下のようなものがあります。
・後部座席のシート
・エアコンのフィルター
・座席カバーや足元の汚れ
後部座席のシートは、一番多くのお客さまを乗せる場所であり、お客さまの評価に直結します。忘れ物チェックはもちろんのこと、ゴミが残されていないか、シートの上が汚れていないかなど、入念にチェックします。シートの見えない埃をとるために、粘着シートや掃除機を使って清掃を行います。
エアコンのフィルターは見落としがちですが、定期的に奇麗にしなければいけないポイントです。フィルターが埃だらけになると、車内の悪臭の原因となり、場合によっては古いフィルターを交換することが必要です。それでも臭いがとれない場合は、シートや車内全体に臭いが染みついていることが考えられるので、専用の洗車場で消臭サービスを受けることになります。
座席にかかっているカバーが黄ばんでいたり、足元が汚れているのも、お客さまにとっては目につく箇所です。カバーは定期的に洗濯、交換し、フロアマットも洗浄し、見えにくい部分も清掃を怠らないように気をつけます。
こうした地道なメンテナンスを通じて、お客様に快適なサービスを提供しているのです。優良なタクシードライバーを目指すためには、洗車、車内のメンテナンスは基本だと心得ておきたいですね。
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