40代の転職事情について、さまざまなアンケート調査を例に挙げて実状を解説します。かつては35歳が転職の限界といわれた時代がありましたが、近年では40代の転職希望者が急増しているようです。これを物語るように、近年は有効求人倍率もバブル期並みの好調。いったい何が起こっているのか、詳しく見ていきましょう。
総務省が実施している労働力調査によると、5年ほど前は就業者数の4〜5%(転職者:286万人)だった転職者の数が、ここ数年はさらに伸びて約290万人で推移しています。年齢別では25〜35歳がもっとも多く、転職者数全体の約25%強を占めている状況。次いで35〜45歳で転職者数全体の20%強を占めています。なお、45〜55歳の割合は全体の20%弱です。
このデータを見ると、40歳以上の転職者の割合がかなり高くなっていることがわかるでしょう。大企業などでは経営に関わる重要なポストに就いて40歳代の管理職が多く、企業の運営や従業員を管理するスキルが買われ、新たな会社に迎え入れられるというケースが目立ちます。
企業側は、40歳代の人間力やポータブルスキルを目当てにし積極採用しているという背景が考えられるでしょう。例えば工場で社員のモチベーションを維持する部署にいた管理職の場合、同じ業界にそのスキルを評価されて迎え入れられることがあります。女性向け雑誌を発行するマーケティング部にいた40代の方なら、「女性の好みが分かる」というポータブルスキルがネット販売会社に評価されるかもしれません。
また、業種間の競争が激化して、人材を育てる時間とコストがなくなっているという企業側の事情も背景にあるでしょう。企業が人材を育てるのではなく、即戦力となる人材を欲しがっているのです。これまでは35歳が転職の限界といわれていましたが、これが40代以降に移行しつつあります。
40代といえば、子供が大きくなり、教育費やマイホームのローンなどで出費がかさむ時期です。この時期40代の転職は、かなり大きなリスクを覚悟しなくてはいけません。それにもかかわらず、40歳代の転職希望者が増加しているはなぜでしょうか。40歳代で転職をした人の具体例を見てみると、以下のようなケースが挙げられます。
・20年近く外食チェーンの店長を務めてきたものの、40歳を過ぎたころに行き詰まりを感じはじめた。そこで不動産管理会社に転職し、新規事業を任せられて売り上げを大幅にアップ。地域エリアの責任者に抜擢された。
・このままこの会社で定年まで働くのかと思うと、人生に嫌気がさしてきてしまった。そこでヘッドハンティングを受け、大手電子機器メーカーのマーケティング部に入社。主力の商品を大ヒットさせて執行役員になった。
このような転職の成功事例は、企業側が40歳代の持つポータブルスキルを求めているという証拠です。ポータブルスキルには成功したという経験だけでなく、何度も失敗してきたけれどもへこたれずに立ち向かっていく、強い精神力なども含まれます。不透明な時代だからこそ、人間性を重視したポータブルスキルを持つ人材が評価されているのではないでしょうか。
タクシー会社も、営業や自営業で戦略を練って収益を上げてきたというスキルが活かせる業界です。特に自分の頭で考えて業績を伸ばしてきた自営業経験者にとって、タクシードライバーほどモチベーションが維持できる仕事はありません。
タクシー会社の多くは研修制度が充実しているため、まったく異なる業界からも転職しやすいという事情があります。研修中には二種免許を取得するために自動車学校へ通いますが、その費用や研修期間中の給与なども、タクシー会社が負担してくれることがほとんどでしょう。研修を終えてタクシーに乗務するようになったら、あとは自分の裁量で勤務時間や休憩時間、勤務体系などが選択できます。
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タクシードライバーは、数ある職業の中でも非常に自由度が高い仕事です。事業所に出勤してタクシーに乗務したら、営業区域内であればどこを走ってもかまいません。ドライバーが自分…【続きを読む】